北山猛邦『『瑠璃城』殺人事件』
日本の最北に建てられた「最果ての図書館」。ここに通う君代に、樹徒はふたりの間にある生まれ変わりの因縁を語り続ける。だが、密室となった「最果ての図書館」で、惨劇が繰り広げられ・・・
物理の北山、城シリーズの第二作。時を越える、ファンタジックなミステリです。
というか、とにかく読みにくい作品でした。読んでいてもテンポに乗れないので、とにかくひっかかる感じです。何か意図している文章なのかもしれませんが、ちょっとその真意はわかりかねます。いや、これがいいという意見もあるでしょうけど。
さて、北山さんといえば物理トリック。今回も次々と各所で大掛かりな物理トリックを披露してくれます。どれも、物理トリックが好きな方にはたまらないような仕掛けで、きっと喜ばせてくれることでしょう。
また、それぞれの時代における物語もなにやら幻想的な雰囲気を持っています。生まれ変わり、輪廻転生の舞台に相応しい世界かもしれません。
ただし、物理トリックを主体としたミステリと幻想的な世界がどうもうまくかみ合っているようには見えませんでした。うまく融合していないというか、ひとつの皿に一緒に盛っただけのような感じ。ひとつひとつはよくても、1+1=3になっていないように見えました。
と、なかなか総合評価を高くできないのですが、この世界が花開いて後の『少年検閲官』や『私たちが星座を盗んだ理由』に繋がっていくのです。そう考えると無視できない作品でしょう。
関連作:『『クロック城』殺人事件』
- 作者: 北山猛邦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/14
- メディア: 文庫
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