2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アンソロジー『大密室』

今日はアンソロジー『大密室』です。本格ミステリには切っても切り離せない要素である密室トリックに有栖川有栖、法月綸太郎、山口雅也など7名が挑みます(文庫版では西澤保彦を加えて8名)。お得です。作家1人1人にそれぞれの密室観があり、作品の後に…

若竹七海ほか『競作 五十円玉二十枚の謎』

さて、今夜は『競作五十円玉二十枚の謎 (創元推理文庫)』をご紹介。まさにタイトルの通り。もともとは、若竹さんが書店でアルバイトをしていたとき、中年男が毎週土曜日に五十円玉二十枚を千円札に両替に来るという日常の謎(実話)です。 本書では、この謎…

柴田よしき『桜さがし』

今夜は柴田よしきさんの『桜さがし (集英社文庫)』を。 再会した京都にある中学校の同級生4人。その身の回りに起きたミステリ的な出来事を解決していく連作短編集。ミステリとしてだけでなく、恋あり友情ありの青春小説としての側面もあります・・・という…

真保裕一『ホワイトアウト』

『秘密』に続く映画原作シリーズ(笑)、真保裕一さんの『ホワイトアウト』です。織田裕二主演で映画化されました。 真夏なのに、涼しくなるような真冬、厳寒の雪山でのストーリー。ですが、とても熱い男の物語。 雪に閉ざされた巨大ダム、そこに侵入・占拠…

東野圭吾『秘密』

今日は東野圭吾さんの『秘密 (文春文庫)』です。入れ替わりものは題材としてはよくある気がしますが、そういうものの中でも、ベストではないでしょうか。とにかく感動させられます、泣けます。泣かされます。 しかし、最後の数ページ、作者は結末を思っても…

北村薫『朝霧』

今日は北村薫さんの『朝霧 (創元推理文庫)』です。 『空飛ぶ馬』で始まり、日常の謎というジャンルを生み出したこのシリーズも5作目になり、「私」も出版社に就職しました。当然のことながら、まわりの人々も少しずつ変わっていきます。もちろん、円紫さん…

倉知淳『星降り山荘の殺人』

倉知さんといえば「猫丸先輩」がすぐ思い浮かぶのですが、この『星降り山荘の殺人 (講談社文庫)』のような趣向のものもお勧めです。 舞台は雪に閉ざされ、陸の孤島となった山荘。次々とおこる殺人。犯人はこの中の誰なのか? 事件の真相は? このあらすじを…

若竹七海『ぼくのミステリな日常』

今夜ご紹介するのは若竹七海さんの『ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)』です。もう10年以上前の、彼女のデビュー作です。 若竹七海が編集長を務める社内報に、毎月短編小説を載せることになり、大学時代の先輩に紹介してもらった匿名作家に書いてもらう…

宮部みゆき『蒲生邸事件』

今さらながら、ではありますが・・・『蒲生邸事件 (文春文庫)』です。 二・二六事件直前にタイムスリップしてしまった受験生の孝史。素性を隠し、蒲生邸に住み込むのですが、二・二六事件の勃発、蒲生大将の自決と孝史はいやおうなしに歴史の波にまきこまれ…

樋口有介『海泡』

一言で言うならば、大いなるマンネリ。またも主人公が同級生の死の真相を追い求めます。 洋介は2年ぶりに東京から父島に帰省したけれど、その2年間に同級生の藤井は精神を病み、翔子の命は風前の灯となるなど様々な変化があります。そんな中、ストーカーに…

加納朋子『ささらさや』

今日は加納朋子さんの『ささらさや』を紹介します。加納版「ゴースト」なんて形容されていたようですが、とにかく泣ける話です。 事故で夫を失ったサヤと赤ん坊のユウ坊に降りかかる数々の事件。ゴーストになった夫に助けられながら、サヤはそれらの事件を解…

平中悠一『She's Rain』

今日はお気に入りの平中悠一『She’s rain』をご紹介します。 実はこの本、平中さんのデビュー作で文藝賞受賞作です。1985年の発行。バブル真っ只中。そして物語もそんな時代の神戸での青春ストーリーです。17歳の夏の短い恋。これからの時代、こんな恋愛はも…