越前魔太郎『魔界探偵 冥王星O ウォーキングのW』
近くの街に隕石が落ちた次の夜、ワルが言いだして、僕たちは車いすに乗った椎野君と三人で森まで隕石を見に行くことになった。ちょっとした冒険のはずだったけど、とても怖いことがあってあの合い言葉を唱えずにはいられない。メーオーセーオー。メーオーセーオー・・・
出版社・レーベルの枠を超えシリーズ化される魔界探偵冥王星Oシリーズ。複数の作家が越前魔太郎という覆面をかぶっているわけですが、さてどうなることか。とりあえず、僕は『V』よりもまず『W』から読みました。
結論から言うと、スト−リーにとらえどころがなくて微妙な感じでした。『V』を先に読んでいると違うのかもしれませんが、交互に登場した【冥王星O】と【ぼく(御家聡明)】のパートに翻弄され、全体像がつかみにくく、結果として何を書きたかったのかわからないという感じでした。
本当は『ウォーキングのW』というタイトルなのでもっと冒険するようなものを想像していたのですが、その点ではちょっと期待とは違ったかなあ。いや、そんなシーンもあったけれど少ないですし、決して中心ではないですし。このままでもおもしろくないわけではありませんが、いっそのこと【冥王星O】のパートをなくしてしまえば、すっきりとしたわかりやすくおもしろいストーリーになったのでは。もちろん、企画として無理ですね。
こういう企画モノだけに、いろいろな制約があってなかなか完成度を上げるのは難しいのかもしれません。どうしても説明不足に感じるところもあるし、その理由も理解できます。しかし、覆面の中の人が噂どおりであったなら、もっと期待に応えてくれそうな気がするだけに残念でした。
魔界探偵冥王星O―ウォーキングのW (電撃文庫) | |
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