朝倉かすみ『夫婦一年生』
太田青葉は朔郎を夫とした。新婚生活一年目、いろいろなことがあったのだが、新しい土地でふたりなんとかつつがなく暮らしている。そんなふたりの、悪戦苦闘の日々を綴った我が家の物語・・・
はっきり言って、これはノロケ小説ではないですか。
特別なことは何も起こらない。山も谷も特にない。ただ、北海道に新しく我が家を構えるに至ったふたりの新婚生活と、職場やマンションでのちょっとした日常を描いた物語です。
ですが、そこには読む者の心をつかんで離さないやさしさとあたたかさがあります。
特に、ふたりが交わす会話が、淡々としていて、ぶっきらぼうで、それでいて互いに相手を思いやる気持ちが現れていて、なんとも言えません。もちろん、譲れない部分もあるのですが。
ふたりを見ていると、今置かれている状態が仕合わせであると言い切れることが大切で、そして本当に仕合わせなことではないかと思えます。
正直なところ、この本を読んで「新婚生活っていいな」なんて未婚の人に思ってほしくない。むしろ既婚の方に夫婦で「こんなこともあったね」と読みあってほしい、思い出を語り合ってほしい、そんな一冊です。
- 粋な提案さま(2009.02.16追加)
夫婦一年生 (shogakukan paperbacks) | |
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