土橋真二郎『扉の外2』
ゲーム開始早々に敗退し、カードの供給を止められてしまった8組。密室での無気力な生活が続いたが、高橋は機転を利かせ、新しいエリアを発見した。だが、そこで行われる新たなゲームは更に過酷な対立を要求するものだった・・・
1巻のエンディングがあまりにも放り投げだったので不安がつのっていた『扉の外2』だったのですが、予想していた以上におもしろい作品になっていました。
前作が戦略シミュレーションゲームだとすれば、今回は小集団心理シミュレーションゲームといったところでしょうか。結束力の強い8組がいかにして崩壊していくのか、丹念に書かれていると思います。極限状態に置かれた人間の心理、常識と思考の崩壊なのです。鳥籠の内と外の関係、腕輪をつけている者とはずれてしまった者の関係など、人間の嫌な部分を見せつけられたような気もします。生存本能とかいうものでしょうか。
登場人物たちも、前作よりは人間的になったようです。とはいえ性善説の固まりのような"女神"正樹愛美や、自分自身よりも何よりも蒼井典子を優先する"たらし"高橋進一とか、ちょっとどこにでもいそうなほど典型的で、それでも幾分よくなったのかなと。小説自体がゲーム的な世界を舞台にしているから仕方がないのかなとか、むしろこの方がわかりやすいシミュレーションになっていいのかななどと割り切って考えています。
でも、男どもはもう少し嫉妬とかないのかなとも。だって高橋はマキマキのポニーテールを触っていい唯一の男で、水野由香と新婚さんごっこをして、それでいて本命は蒼井典子って・・・これじゃ男どもはまるで野蛮なだけじゃないか。
ということで、俄然続編が楽しみになりました。今度はどんなゲームなのか? どこの組? そして、この世界を制御しているのは誰?
関連作:『扉の外』
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