谷川流『涼宮ハルヒの退屈』
ハルヒの退屈はキョンたちSOS団に様々な事件をもたらす。それは草野球だったり、七夕だったり、人捜しだったり、合宿だったり。しかし、あらゆる手段を駆使してでも、ハルヒの精神状態を安定させなければ・・・
4編が収録されたシリーズ初の短編集。
●「涼宮ハルヒの退屈」
退屈しのぎにハルヒが試みたのは草野球大会への参加だった。SOS団は5人しかいないのに・・・『憂鬱』発売前に雑誌で発表された作品とのこと。『憂鬱』『溜息』と読んだあとの『退屈』に収録されているからいいものの、雑誌でいきなりこれを読んだらなかなか理解が難しかったのではないかと。
●「笹の葉ラプソディ」
みくるとともにあの三年前にタイムスリップしたキョン。待っていたのは更に未来のみくるだった・・・おそらくシリーズ中でも重要な作品。ハルヒの過去が明らかになるとともに、ハルヒとキョンの関係も明らかに。今後(作中未来)の作品に向けての重要な伏線であり、同時に以前(これも作中未来)の作品の真相だったり。
●「ミステリックサイン」
SOS団に初めての依頼者が現れた。捜してほしいのは、お隣コンピュータ研究部の部長だという・・・これはなかなか気持ちの悪い作品でした。カマドウマが・・・
●「孤島症候群」
夏休み、SOS団は古泉の親戚が所有しているという孤島の別荘で合宿を行うことになった。事件を期待するハルヒだったが・・・ミステリ仕立ての中編。なかなか興味深い作品で、ミステリとして読むと残念な真相だったのですが、このシリーズとしてはきわめて真っ当で、当然の帰結かと。普段の態度と異なるハルヒも見もの。
4編の中ではシリーズ中のキーポイントとなりうる「笹の葉ラプソディ」と、作者のミステリ好きが顕著に現れる「孤島症候群」は必読かと。『溜息』での古泉によるジャンル決めのセリフでも明らかでしたけどね。
収録作:「涼宮ハルヒの退屈」「笹の葉ラプソディ」「ミステリックサイン」「孤島症候群」
関連作:『涼宮ハルヒの憂鬱』『涼宮ハルヒの溜息』
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