近藤史恵『天使はモップを持って』

 昨夜、近藤史恵さんの『天使はモップを持って (ジョイ・ノベルス)』を読了しました。


 オペレータールームに配属された新入社員の梶本大介。この会社には一風変わった清掃作業員がいた。名前はキリコ。ピアスを2つも3つもしたような派手な外見、それでいて掃除の腕は超一流。おまけに彼女は社内で起きた様々な謎も次々と解決していく・・・


 「週刊小説」誌に掲載された作品に、書き下ろしのものを加えた短編集。
 かなり軽い感じのミステリで、同じ近藤作品でもノリや雰囲気は今泉文吾の歌舞伎ものあるいは『青葉の頃は終わった (光文社文庫)』などとはかなり色合いが違います。読みやすく、おもしろい作品集でした。
 ただし、謎の奥底にはかなり深くて重いものが見え隠れしています。


 ミステリとしてはトリック等が弱いのですが、各短編の中では、特に「ピクルスが見ていた」「桃色のパンダ」の2編が印象深く、どちらも意外な動機が切ない短編です。
 最後に書き下ろしの「史上最悪のヒーロー」が置かれていますが、これは・・・ちょっと見え見えで予想がついてしまいました。今年、続編の『モップの精は深夜に現れる (ジョイ・ノベルス)』が刊行されていますが、この後どんな風につなげられているのか、かなり気になります。


収録作:「オペレータールームの怪」「ピクルスが見ていた」「心のしまい場所」「ダイエット狂想曲」「ロッカールームのひよこ」「桃色のパンダ」「シンデレラ」「史上最悪のヒーロー」

2005年11月07日読了 【7点】
【感想拝見】

天使はモップを持って (文春文庫)
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