加納朋子『てるてるあした』
ちょっと前のことですが、先週、加納朋子さんの『てるてるあした』を読了しました。今年のベスト候補です。
金銭にルーズだった親の夜逃げによって進学が決まっていた高校をあきらめて佐々良にやってきた照代。母方の遠い親戚だという久代の家においてもらうことになるが、久代は「魔女」に例えられるほど厳しかった。そして、照代のもとには送り主がわからないメールが届き、さらには女の子の幽霊も現れる。すべては不思議な町・佐々良での出来事。
『ささらさや』の続編というか姉妹編。サヤやユウ坊など、おなじみとなったメンバーたちの間に照代が新たに加わります。
おそらくは15年間の家庭環境と学力そして外見がもたらしたであろう鼻持ちならない屈折した性格の照代。この性格というのが非常に利いていて、『ささらさや』の場合、頼りないサヤが生活能力を身につけていく成長を遂げたのに対し、今作ではこの前に照代の性格を改めるという過程が加わります。それを考えると、3人のおばあさんの中では久代と同居というのがベストだったのでしょう。
ただ、これだけだったらそこまで高い評価にはしません。ありがちな話です。問題は最後の「実りと終わりの季節」。思っても見なかったことが起こります。もう涙、涙といった感じ。幽霊少女の正体など、謎も解けます(ミステリ的ではありませんが)。
親子の関係について考えさせられ、意外に努力家だった照代に声援を送りたくなり、そして結末に泣いてしまう、そんな1冊です。
関連作:『ささらさや』
【感想拝見】てるてるあした | |
加納朋子 幻冬舎 2005-05 売り上げランキング : 325697 おすすめ平均 「ささらさや」の世界がそのままに帰ってきてくれる 僕たちも「照代」なのかもしれません あしたははれる 不思議な町 面白かったです! Amazonで詳しく見る by G-Tools asin:4344007840 rakuten:book:11457827 |