有栖川有栖『絶叫城殺人事件』
というわけで、昨日『絶叫城殺人事件 (新潮文庫)』を読了。
これぞ「アリス流本格ミステリ」という感じの短編集。いわゆる「火村シリーズ」で、各編のタイトルは「建物の名前(漢字3文字)」+「殺人事件」で統一されていますが・・・読みどころは本書のラストにある表題作です。
若い女性ばかりをねらう連続通り魔事件が大阪で発生。火村が捜査に加わり、東京のホテルでカンヅメになっていたアリスも遅れて参加する。通り魔の手口、そして被害者の口の中に「ナイトプローラー」と書かれた紙を残すところは、ホラーゲーム「絶叫城」を模していた・・・
ポイントは、狭められた府警の包囲網から姿を消すナイトプローラーを捜すことはもちろんですが、それ以上に2つの「動機」にあると思います。1つはナイトプローラーの正体から納得できるものなのですが、もう1つはこの作品を書き上げる中で、作者がもっとも主張したかったことと直結しているのではないかと。それを表現したいが為に書き上げたといってもいいのではないでしょうか。ご本人がどのようにお考えかは知りませんが。
比較的長い短編でしたが、犯人を追う火村、アリス、府警の面々の焦りが感じられ、スリリングで楽しい作品でした。このテーマで長編にしても良かったのでは?
他の収録作も粒ぞろいの印象です。ちなみに「壺中庵殺人事件」は『大密室』収録作で、以前日記でもちらっと・・・
収録作:「黒鳥亭殺人事件」「壺中庵殺人事件」「月宮殿殺人事件」「雪華楼殺人事件」「紅雨荘殺人事件」「絶叫城殺人事件」
絶叫城殺人事件 (新潮文庫) | |
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