2004-01-01から1年間の記事一覧

スタート

今日から「積んどく? 読んどく? - 楽天ブログ」の別館として、ミステリの感想を中心とした日記を書いていきます。 感想はshiba_motoの独断と偏見ですので、大目に見てください。

東野圭吾『片想い』

東野圭吾さんの『片想い (文春文庫)』を読了しました。今回はネタバレありなので、未読の方は注意して下さい。 毎年恒例で開かれている元アメフト部の同窓会のあと、哲朗は10年ぶりに元マネージャーの日浦美月と再会した。そして、美月は男の姿をし、しかも…

米澤穂信『氷菓』

気づかないうちに部室が密室になってしまった! 5週続けて返却された学校の50年史! 古典部の文集を隠し続ける壁新聞部長! 神山高校でおこる数々の謎を解くのは薔薇色ならぬ灰色の青春を過ごす省エネ人間・折木奉太郎。そして、文集作りの中、ついに封印さ…

井上一馬『モンキーアイランド・ホテル』

本当はこんなことしてちゃいけないんだろうな、と思いながら井上一馬さんの『モンキーアイランド・ホテル (講談社文庫)』を読みました。試験が近いのに・・・ 「モンキーアイランド・ホテル」「奇跡」の2編による作品集。井上さんといえばボブ・グリーンの…

我孫子武丸『人形はライブハウスで推理する』

おなじみのシリーズ最新刊『人形はライブハウスで推理する (講談社文庫)』を読みました。 腹話術師の朝永さんが操っている(?)人形の鞠夫が事件の謎を解いていく短編集。しかし、ミステリ部分よりも朝永さんと「おむつ」こと睦月との仲が気になるラブコメ…

矢作俊彦『ららら科學の子』

矢作俊彦さんの『ららら科學の子』を読了。人によってさまざまなとらえ方ができる小説だと思いました。 大学紛争の際に殺人未遂で指名手配になった若者が、中国へ渡り山里でひっそりと暮らす。30年たって彼は蛇頭の船で日本へ帰ってきた。生まれ育った街は30…

石田衣良『4TEEN』

週末、石田衣良さんの『4TEEN』を読みました。直木賞受賞作を読むのは『私が殺した少女 [ 原りょう ]』以来です。 舞台は東京・月島。テツロー、ジュン、ナオト、ダイという4人の普通? の14歳の物語。 早老症という難病のナオトや誤って父親を殺してしまう…

野沢尚『反乱のボヤージュ』

先日お亡くなりになった野沢尚さんの『反乱のボヤージュ (集英社文庫)』を読みました。 首都大学のオンボロ弦巻寮に住む坂下薫平。ことあるごとに難癖をつけ、弦巻寮を廃寮しようとする大学側は、弦巻寮の舎監として元警察官の名倉を送り込む。そんななか、…

はやみねかおる『僕と先輩のマジカル・ライフ』

先週図書館で借りてきたはやみねかおるさんの『僕と先輩のマジカル・ライフ』読了しました。 M大学に入学した井上快人。快人の幼なじみで霊能力者の川村春奈。快人が入居した今川寮に住むオカルト趣味の奇人長曽我部慎太郎先輩。3人が巻き込まれてしまう、…

大倉崇裕『七度狐』

今週は昼休みにまとまった読書タイムがとれたので、まず、1冊読了しました。大倉さんの『七度狐 (創元クライム・クラブ)』は『三人目の幽霊 (創元クライム・クラブ)』に続くシリーズで、今回は長編でした。 静岡の山奥にある杵槌村で開かれる春華亭古秋一門…

光原百合『十八の夏』

光原百合さんの『十八の夏』を読了。 第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作を含む4編からなる短編集。どの作品も花をモチーフにしています。 どちらかというと地味な感じのする作品が並んでいるのですが、その中に透明感というか、みずみ…

大倉崇裕『三人目の幽霊』

図書館で借りてきた『三人目の幽霊 (創元クライム・クラブ)』です。 「季刊落語」編集部に配属された間宮緑。並外れた洞察力を持つ編集長、牧大路。ふたりの身の回りでおきる落語界内外の不可思議な出来事を計ったかのように解決していく牧と、必死に追いか…

柴崎友香『きょうのできごと』

柴崎友香さんの『きょうのできごと (河出文庫)』を読了。おもしろかった、楽しかった、というよりもいい気分になれました。 友人の引っ越し祝いに集まった若者たちのその日のできごとを、それぞれの視点から切り取っています。なんてことない日常の中の一日…

ほしおさなえ『ヘビイチゴ・サナトリウム』

やっとほしおさなえさんの『ヘビイチゴ・サナトリウム (ミステリ・フロンティア)』を読了しました。 中高一貫教育の私立白鳩学園で屋上から高3の江崎ハルナが飛び降り自殺をする。やがてハルナとの関係が噂されていた国語教師の宮坂も・・・小説家を目指し…

加納朋子『螺旋階段のアリス』

少し前に読んだ本の中から加納朋子さんの『螺旋階段のアリス』を。 大企業のサラリーマンから私立探偵へ転身した仁木順平と、そこへ突如現れパートで助手になった安梨沙。2人への依頼は仁木が憧れるようなものではなく、平凡なものばかり。だが・・・ いわ…

米澤穂信『さよなら妖精』

図書館で借りてきた本の中から2冊目として米澤穂信さんの『さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)』を読了しました。『氷菓』『愚者のエンドロール』はまだ積読です。 1991年、守屋路行たちは雨宿りをしていたマーヤと名乗るユーゴスラビアからやってきた…

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

図書館から借りてきた『イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)』を読了しました。 代打で出席した合コンで出会ったたっくんとマユの恋愛小説。どこまで読み進めても恋愛小説。なにかひっかかるけど恋愛小説。ところが原書房の「ミステリーリーグ」、…

若竹七海『悪いうさぎ』

若竹さんの『悪いうさぎ』を今日読了しました。 女探偵葉村晶シリーズの3作目。家出女子高生の連れ戻しを依頼されたことをきっかけに、彼女の身に次々と災難のような出来事が・・・ 人間の悪意を描くことに定評がある若竹さん。「わたしの捜査に手加減はな…

村山由佳『すべての雲は銀の・・・』

最近読み終えた本から村山由佳さんの『すべての雲は銀の・・・』を取り上げます。 村山作品はかなりの数読んできたけれど、心に傷を持つ人々が数多く登場します。本作の主人公である祐介もその代表で、彼は彼女と兄、家族という頼れる人を1度に失ってしまい…

深見じゅん『ぽっかぽか』

深見じゅんさんの『ぽっかぽか (You comics)』って知ってますか。何度か昼ドラにもなったコミックなんですが、サラリーマンのちち、ぐうたら主婦のはは、そして幼稚園に通う娘の3人によるホームコメディです。 一家は、会社の同僚やご近所の主婦、親戚など…

西澤保彦『幻惑密室』

最近は仕事もプライベートも忙しく、なかなか本を読めなかったけど、10日もかけてやっと読み終えました、西澤保彦さんの『幻惑密室―神麻嗣子の超能力事件簿 (講談社文庫)』です。 推理作家の保科匡緒と能解匡緒警部、そして「チョーモンイン」の神麻嗣子の3…

アンソロジー『大密室』

今日はアンソロジー『大密室』です。本格ミステリには切っても切り離せない要素である密室トリックに有栖川有栖、法月綸太郎、山口雅也など7名が挑みます(文庫版では西澤保彦を加えて8名)。お得です。作家1人1人にそれぞれの密室観があり、作品の後に…

若竹七海ほか『競作 五十円玉二十枚の謎』

さて、今夜は『競作五十円玉二十枚の謎 (創元推理文庫)』をご紹介。まさにタイトルの通り。もともとは、若竹さんが書店でアルバイトをしていたとき、中年男が毎週土曜日に五十円玉二十枚を千円札に両替に来るという日常の謎(実話)です。 本書では、この謎…

柴田よしき『桜さがし』

今夜は柴田よしきさんの『桜さがし (集英社文庫)』を。 再会した京都にある中学校の同級生4人。その身の回りに起きたミステリ的な出来事を解決していく連作短編集。ミステリとしてだけでなく、恋あり友情ありの青春小説としての側面もあります・・・という…

真保裕一『ホワイトアウト』

『秘密』に続く映画原作シリーズ(笑)、真保裕一さんの『ホワイトアウト』です。織田裕二主演で映画化されました。 真夏なのに、涼しくなるような真冬、厳寒の雪山でのストーリー。ですが、とても熱い男の物語。 雪に閉ざされた巨大ダム、そこに侵入・占拠…

東野圭吾『秘密』

今日は東野圭吾さんの『秘密 (文春文庫)』です。入れ替わりものは題材としてはよくある気がしますが、そういうものの中でも、ベストではないでしょうか。とにかく感動させられます、泣けます。泣かされます。 しかし、最後の数ページ、作者は結末を思っても…

北村薫『朝霧』

今日は北村薫さんの『朝霧 (創元推理文庫)』です。 『空飛ぶ馬』で始まり、日常の謎というジャンルを生み出したこのシリーズも5作目になり、「私」も出版社に就職しました。当然のことながら、まわりの人々も少しずつ変わっていきます。もちろん、円紫さん…

倉知淳『星降り山荘の殺人』

倉知さんといえば「猫丸先輩」がすぐ思い浮かぶのですが、この『星降り山荘の殺人 (講談社文庫)』のような趣向のものもお勧めです。 舞台は雪に閉ざされ、陸の孤島となった山荘。次々とおこる殺人。犯人はこの中の誰なのか? 事件の真相は? このあらすじを…

若竹七海『ぼくのミステリな日常』

今夜ご紹介するのは若竹七海さんの『ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)』です。もう10年以上前の、彼女のデビュー作です。 若竹七海が編集長を務める社内報に、毎月短編小説を載せることになり、大学時代の先輩に紹介してもらった匿名作家に書いてもらう…

宮部みゆき『蒲生邸事件』

今さらながら、ではありますが・・・『蒲生邸事件 (文春文庫)』です。 二・二六事件直前にタイムスリップしてしまった受験生の孝史。素性を隠し、蒲生邸に住み込むのですが、二・二六事件の勃発、蒲生大将の自決と孝史はいやおうなしに歴史の波にまきこまれ…