杉井光『さよならピアノソナタ』

 転校生は表舞台から姿を消した天才少女ピアニストの真冬だった。一度ジャンクパーツ置場であったことがあるナオは気にかけるが、クラスで孤立する真冬は相手にしない。そればかりか、ナオが使っていた空き教室を占拠し、ピアノではなくギターを超絶技巧で速弾きしていたのだ・・・


 よかった。もっと早く読めばもっとよかった。
 恋と革命と音楽の物語、そのまんまです。
 一言で表せばありがちな転校生とのボーイミーツガールなストーリーなのですが、そこに音楽が美しく、楽しく、熱く寄り添い、絶妙のハーモニーでした。
 音楽を小説の中で言葉で表現するのはなかなか難しいと思うのですが、その辺はしっかり克服されているというか、まったく気になりません。クラシックやロックの専門的な知識を持つ人にとっては尚のこと楽しい作品だったでしょう。蘊蓄を蘊蓄と感じさせないのがいいですね。


 多少ご都合主義的に感じる部分もありますが、それでもしっかり手順を踏んで展開しています。また、伏線というか、前振りのようなものも手堅く組み込まれています。
 ただし、欲を言えば全体がややきれいにまとまりすぎていることと、千晶の存在感が薄いところが難点でしょうか。いや、神楽坂先輩の存在感が強すぎるのかも。
 きれいにまとまっているだけにどんな風に続くのか予想もしにくいのですが、とにかく続きが出るようなので楽しみです。

2008年1月10日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
さよならピアノソナタ (電撃文庫 す 9-6)
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おすすめ平均 star
starドラマのような世界
starうーん
starこんなラノベもよかった(σ・ω・)σYO!
starあと一歩…
starムカつくけど巧い。
star既成概念に寄り掛からず真っ向から「青春」描く
stars久しぶりに引き込まれた。
stars魅力的な

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