汀こるもの『まごころを、君に THANATOS』

 友人柳瀬に対する生物部の仕打ちを耳にした美樹は、文化祭を利用して生物部に仕返しをしようと画策した。だが、美樹が向かった教室で爆発事件が発生してしまう。騒ぎに巻き込まれる形で、真樹はまたもこの事件の真相をたどっていくことになってしまう・・・

 THANATOSシリーズ第二作。
 「前作はかなりミステリだったなあ」なんて考えたくなる第二作。もちろん事件も起こるし、謎も解くのだけれど、そういった部分は一見するとかなり薄く、より魚の薀蓄に力が入れられているようです。うん、これは思っていたのとちょっと方向性が違うのかも。
 ただし、その薀蓄も物語の中である程度自然に語られており、不必要には見えません。むしろわかりやすさ、丁寧さからここに力が入れられていることがはっきりわかり、それはそれで好感が持てます。まあ、それでもこの部分を読むことに苦痛を感じるようだと次からは読まないのでしょうね。


 ミステリとしては、筆を費やした薀蓄がしっかり絡められているのはもちろんだけれども、もう一ひねり、二ひねりされていればもっと評価ができるのですが。
 やはり双子を中心としたキャラクター小説、あるいはライトノベルとしての色彩が強いシリーズというのがここまでの印象でしょうか。ミステリを意識した読み方はしない方が賢明でしょう。


関連作:『パラダイス・クローズド THANATOS

2012年3月7日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
まごころを、君に THANATOS (講談社文庫)

まごころを、君に THANATOS (講談社文庫)

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