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佐々木譲『警官の条件』

 若くして警部に昇進した安城和也は、係長として組織犯罪対策部に着任。しかし捜査は行き詰まり、以前エースだったひとりの男の復帰を要請が待望する声が上がる。男は断り続けたが、和也のミスによって以前の部下が殉職し、その葬儀の場に現れ、一言告げた。「戻る」と・・・


 「小説新潮」2010年5月号から2011年3月号まで連載された、親子三代の警官人生を描いた大作『警官の血』の続編。今回はその三代目・和也と彼の内偵によって警察を追われた加賀谷仁の物語です。冒頭に『警官の血』の結末が描かれていますので、『警官の血』を未読でしたらできることならそちらからお読みください。
 前作が大河小説だったのと比較すると、本作は警察小説としての色合いが濃く、ちょっと異なる性質を持っています。特に序盤、すなわち加賀谷が復帰するあたりまでは警察内部を描くシーンが多く、その分若干おとなしい印象を持ちました。
 また、三代目という血筋や、加賀谷を売ったことから生じる焦りを感じさせることが多く、それが後半の盛り上がりへと巧みにつなげられています。


 後半は加賀谷の活躍が中心となり、一気にラストシーンまで突き抜けます。彼のやり口は相変わらずで貸し借りの関係。しかし、実際にそれが機能し成果を上げているという現実を見せつけられた刑事たちの心中は、如何ほどだったでしょうか。 
 ラストシーンはこの物語を象徴する小道具が有効的に使われ、和也の感情をもっともはっきり押し出しています。やはりここが一番心を揺す振られたのですが、これは『警官の血』から読んでいたからでしょう。
 求められる「警官の条件」とは何なのか、それを和也はどのようにとらえているのか。できることなら前作から一気に読むことをおすすめします。


関連作:『警官の血

2012年2月29日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
警官の条件

警官の条件

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