石持浅海『彼女が追ってくる』
「箱根会」と呼ばれる旧知の経営者同士の親睦会。独立し一経営者となった中条夏子は、招かれる側に立場を変え出席することにした。かつての同僚黒羽姫乃が出席するから。パーティーののち、コテージで姫乃を殺害した夏子は、証拠を完全に隠滅したはずだったのだが。たったひとりの部外者が夏子を追い詰めていく・・・
怖い人が帰ってきました。碓氷優佳。今回も抜群の切れ味です。
このシリーズは優佳が犯人を告発するような倒叙推理の形式を採っています。ですから、見どころは優佳がどういう形で夏子を追い詰めるのか、という部分にあります。
この追い詰め方が何とも超人的。絶対に敵に回したくないってこういう優佳のような人なんでしょうね。いや別に悪いことをするつもりはないのですが、もうすべてお見通しって感じですよ。もう悪いことはできません。
もうひとつ、見どころといえば、「箱根会」に参加した面々による推理合戦もはずすことはできません。数少ない手がかりをもとに犯人を導き出そうとするのですが、夏子が張った予防線だけでなく、夏子も予期できなかった出来事によってその行方が変わっていく様子はある意味で滑稽です。また、読者にも隠されていた真相が明らかになったときに見えてくるこの事件の全景には驚かされました。
たしかこのシリーズは3作で完結と聞いた記憶がうっすらとあるのですが、どうなのでしょう。とりあえず、短編は続いているようなので一冊にまとまるのが楽しみです。
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2011/10/26
- メディア: 新書
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