原田マハ『でーれーガールズ』

 人気漫画家の小日向アユコは、母校で講演するために30年ぶりに岡山を訪れることになった。同窓会に出席し、高校時代が甦ってくる。東京から引っ越してきた鮎子をからかい続けた武美。鮎子と武美をつないだのは、鮎子が描いた「ヒデホとあゆの物語」。偶然それを見た武美は、熱烈なファンになったのだった・・・


 唐突な形で訪れたラストシーンに驚かされた一冊。
 はたして、こんな形で終わる必要があったのか疑問で、それがラストに関することだっただけにより強い印象を持ってしまいました。もちろん、「涙なくしては読めない」という感じのシーンなのだけれど。


 さて、同窓会を迎える現在と高校時代が交互に登場するこの作品、特に30年前とされる高校時代をとても興味深く読みました。世代的には若干違うものの、時代背景はジャストミート。今と比べればずっと不自由で、古い考えに縛られていた時代でしたが、それを当然のものとして受け入れ、限られた範囲の中で日々を精いっぱい楽しむ。そんな学生生活を鮎子と武美から垣間見ることができます。あのノートもそう、あのリボンもそう。懐かしさと同時に、いろいろな思い出がよみがえってくるような物語でした。


 作品の主題として語られているのは、女性同士の友情です。「ヒデホとあゆの物語」を介して友情を深めていった鮎子と武美。30年の時を経ても変わらなかったそれは、優しく、そしてあたたかく描かれます。
 あの頃あんなことがあった、だから今がある。そんなことを思わせてくれる作品でした。

2011年11月15日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
でーれーガールズ

でーれーガールズ

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