笹本祐一『妖精作戦』

 夏休み最後の夜、オールナイトで映画を見た榊は、駅で転校生の小牧ノブと知り合った。その日から、榊の周囲は俄然騒がしくなった。なぜなら、ノブはある組織に追われる超能力者だったから。彼女の能力は並外れているのだ。榊は友人たちとともに、さらわれた彼女を救うべく原潜へ向かった・・・


 『レインツリーの国』に登場した「フェアリーゲーム」の元ネタ。タイトルも内容も、『妖精作戦』へのオマージュですよね。
 一言で表現するならば、ハチャメチャなストーリーです。勢いだけでどんどん突っ走るような疾走感があります。学生にすぎない彼らが、助けなければならないという使命感と好奇心、そして勢いで原潜だけでなくあんなところまで行ってしまうなんて。無謀ですよ。ありえませんよ。でも、熱いです。
 ノブの超能力をはじめとして物語にはSFの要素が盛りだくさんです。しかし、さほど気にすることなく読みとおせます。これはこの物語の強みでしょう。本当にたくさん、次から次へとSF要素が出てくるのですけどね。

 書かれたのは今から30年近く以前のこと。もちろん、ライトノベルなんて言葉はない時代です。でも、不思議と古さは感じません。登場する小道具や風俗に一抹の懐かしさは感じるものの、作品そのものが古びてはいないのは、表現しているものが普遍だからでしょうか。
 技術は日進月歩ですが、30年経っても変わらないものがここにあります。
 うーん、続きが読みたい! 四部作のようですが、次はいつでしょう。

2011年10月2日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
妖精作戦 (創元SF文庫)

妖精作戦 (創元SF文庫)

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