真保裕一『アンダルシア』

 フランスとスペインに挟まれた小国・アンドラバルセロナに滞在していた黒田はアンドラから発せられた連絡を受け、直ちに急行し邦人女性を保護した。だが、彼女の言動はどうにもおかしい。黒田は外交官の立場から、彼女が巻き込まれているある事件に踏み込んでいく・・・


 外交官黒田康作シリーズも3作目。今回もまた映画原作となりました。映画は見ていないのですが、きっと全然違う内容なのでしょうね。
 タイトルどおり、スペインでの黒田の活躍を描く作品です。今回も彼は大活躍なわけですが、事件があまりにも入り組んでいて、ちょっと置いて行かれた気がします。「黒田、ちょっと待て。自分がわかっただけじゃなくてちゃんと説明しろ」って言いたくなる感じ。
 真保さんのことですから、おそらく相当綿密な取材のもとにこの物語を書いているのでしょうが、それだけに内容が濃く、ちょっと理解が追いつかないかなというところ。いや、これは読み方が足りないのか。


 同じEUの中にありながら、それぞれの国家・警察の誇りやメンツ、思惑というものが執拗に交錯しています。そういったものに翻弄されている黒田の姿は、過去二作ではちょっと想像しにくいものでした。
 また、邦人保護担当の外交官という黒田の立場は微妙で、そのあたりの葛藤も垣間見ることができます。


関連作:『アマルフィ』『天使の報酬

2011年9月23日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
アンダルシア

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