竹宮ゆゆこ『ゴールデンタイム1 春にしてブラックアウト』
大学に合格して上京した多田万里は、入学早々、奇妙な出会いをした。会場で意気投合した柳澤光央、そして柳澤を追って来た彼の幼馴染加賀香子と。完璧なお嬢様であるのと同時に、香子は思いこみ激しく柳澤を追い続けるストーカーもどきなのだ。柳澤は香子を避け続けるのだが、そのとばっちりは万里へ・・・
ついに出た新作は、大学生もの。登場人物の年齢が上がったためか。若干はじけぶりがおとなしい気もします。まあ、大学生ですから。
大学が舞台ということで、入学式だとかオリエンテーションだとか、やっぱりそれらしいシチュエーションが使われていて、その使い方がまた巧みです。特に、やっぱりサークルの使い方が印象的でした。おまけんよりも、むしろあっちが。まあ、大学生なんて何でもありですから、これからもやりたい放題ですね。
香子が柳澤を想う気持ちがあまりにもストレートで、それでいてなんだかいじらしくも見えます。そもそも極秘に試験を受けていた柳澤を追いかけて同じ大学に入学してきたあたりが普通じゃなく、その気がなければちょっと引いてしまいそう。おまけに、その行動に行き着くまでの数々のエピソードがまた同じような感じで、まさに一人相撲。
この一人相撲も、きっとお嬢様ゆえの部分もあるのでしょうが、「美人なのにもてないんです」なんて言ってのけるあたり、他人の心が理解できるのかできないのか、どうなのでしょう。オーラを持った非凡な人物なのは間違いないでしょう。
一方、高校三年以前の記憶を失っている万里も、そのお人よしぶりは人並みはずれたものがあります。以前からそうだったのでしょうか。現在の彼の気持ちと、過去に何やらあったらしきリンダとのこともあり、どろどろの関係を招きそうな予感も。
まだまだ始まったばかりで、これからそれぞれのベクトルがどちらへ向いて行くのかまったく予想ができません。万里の過去やリンダの謎とかいろいろ絡んできそうで、続きが気になります。早く読みたーい。
ゴールデンタイム〈1〉春にしてブラックアウト (電撃文庫) | |
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