湊かなえ『贖罪』
夕方には時報代わりに「グリーンスリーブス」が流れ、自慢できるのはきれいな空気という田舎町。だが、この町で起きた少女殺害事件は、犯人を指摘できなかった四人の少女の運命を変え、さらに被害者の親が言い放った言葉は、彼女たちを追い詰めていた・・・
いまだ『[rakuten:book:13021744:title]』という大ヒット作を読んでいないのですが、『[rakuten:book:13021744:title]』『少女 [ 湊かなえ ]』『贖罪 [ 湊かなえ ]』と、なんとなく似た傾向の作品を書き続けているようなイメージがあります。
それはさておき、この物語、ほぼ一気読みでした。うまい具合に時間がとれたこともありますが、それだけこの物語が放してくれなかったということです。
殺人事件に関係してしまった四人の少女が大人になり、それぞれに事件のことを語るのですが、彼女たち自身にも悲劇が起きてしまうという形。少しずつ、それでいて絶え間なく明らかになっていく事件の真相がなかなか読む手を止めさせないのです。おまけに、過去の事件による呪縛が新たな悲劇を引き起こしてしまう負の連鎖が強い印象を残します。子どもの頃のあの事件さえなければ、きっとこんな目に遭わなくても済んだ普通の人だったでしょうに。
過去の事件の真相へと繋がる伏線ははっきりしており、決して伏せているとは言い難い状況。それが真相にたどり着いたときの驚きを幾分か打ち消してしまっているのが残念なところ。
読後にはやはり割り切れない、やりきれない気持ちが残りますが、それが湊さんの持ち味ということでしょう。ただ、そろそろ少しは違うものを出していかないと読者に「また?」と思われてしまいそうな気がします。
【感想拝見】- itchy1976の日記さま(2009.08.10追加)
- "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!さま(2009.09.19追加)
贖罪 (ミステリ・フロンティア) | |
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