真名月由美『電脳幽戯 ゴーストタッチ』

 「Foolish Children」それは命を懸けたネットゲーム。探偵の鷺浦悠人は青年の不可解な事故死を調べている途中、このゲームを見つけた。書き込んだことが現実になるこのゲームにいつの間にか参加させられていた都薙緋真は、他のマスターから命を狙われることに・・・


 乙一さん推薦の帯で目を惹いたホワイトハート新人賞受賞作。
 ゲームを中心に据えた小説かと思いきや、ゲームは味付け程度、ホラーテイストの強い作品でした。予想していたものとは違いましたが、それなりに楽しめました。
 ゲーム的な要素のある小説というと、最近では『扉の外』あたりを思い浮かべます。当然そのあたりを期待していたのですが、あまりゲームが生かされていない印象です。もちろん、このゲームなしには物語の始まりも終わりもないのですが、少々物足りません。なんでしょう。人物がゲームの中にいる小説と、ゲームの外にいる小説の違い?でしょうか。


 ただ、読者をぐいぐいと引き込む物語ですし、苦い過去のある探偵鷺浦のキャラクターもおもしろいです。文章も難解すぎず優しすぎず、テンポもよくちょうどいい感じ。きっと力のある新人さんです。
 ラストの流れから、おそらく続編があることが想像できます。鷺浦の過去も関係するでしょうし、助手の璃砂も絡んでくるのかな。もっとゲーム世界を活用した、スケールの大きな物語を期待。

2008年6月18日読了 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
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