杉井光『さよならピアノソナタ2』

 夏、夏といえば水着、水着といえば海で合宿。ということで海辺の別荘へ合宿にやってきた民俗音楽研究部の一同。ライブのスケジュールも決まったのだが、4人の歯車はどうもうまくかみ合わない。真冬は自分がこのバンドにいる理由について思いをめぐらせていた・・・


 ナオの鈍さに呆れ、真冬のめんどくささに苛立ち、神楽坂先輩の過去と脆さに驚き、そして健気な千晶に涙する。そんな作品です。
 とにかくナオが鈍感。気付かないにもほどがあります。読んでいる方が呆れるやら、もどかしいやら。まあ、あまり敏感に反応されても修羅場の到来が早まるだけのような気もしますし、そもそもハーレムだと勘違いされるのも困るのですが。
 一方、ヒロイン真冬はめんどくささ全開。合宿に行くの行かないの、ライブに出るの出ないのと他の3人をかき回します。もっとも、それが真冬らしさだったりします。
 でも、今回はなんと言っても神楽坂先輩です。独断専行でバンドを引っ張るのは変わりませんが、ナオに過去の体験から来る不安と脆さをにじませ、圏外から懐へ一気に突入です。女性3人が同じ方向を向いてしまうにはちょっと早い気もしますが。
 また、前巻ではやや印象が薄かった千晶ですが、今回は真冬のライバルとして復活。バンドを何とかしようとTシャツを作ってきたり、メンバーが揃うまでドラムソロだけで間を持たせたり。健気としか言いようがありません。敵に塩を贈るような行為もマル。


 もちろん、恋愛方面だけでなく音楽方面でも楽しませてくれます。ライブのシーンなんて臨場感があってなかなか楽しいです。
 これからフェケテリコはどちらの方向へ羽ばたいて行くのでしょうか。いつになったら鈍感なナオは気付くのでしょう。


関連作:『さよならピアノソナタ

2008年3月15日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
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