中西智明『消失!』

 高塔市で起こった3つの事件。それは見事な赤毛の持ち主ばかりが狙われる事件だった。しかも、犯人は現場から消失し、そればかりか死体までもが消失したのだ。著書『都市と探偵』で一躍有名になった新寺仁は、私立探偵開業後の初仕事としてこの事件に取り掛からざるを得なくなり・・・


 犯人や死体ばかりでなく、作者までもが消失してしまったことで一部では幻の本とまで言われた本書をやっと読みました。講談社ノベルス25周年記念企画「綾辻・有栖川 復刊セレクション」で遂に復刊されることもあり、「ぜひその前に読もう」ということで。
 詳細をあまり書かない方がよい作品だと思うので完結にしますが、「まんまとしてやられた」というところでしょうか。読者を欺くためにすべてを捧げたような作品。まあ、最後の1つはちょっといらないかなとも思いましたが。
 しかし、視点や舞台の移り変わりが激しいためか、あるいは文体のためか、少し作品に入り込めなかった印象があります。残念。探偵新寺にもあまり魅力を感じませんでした。


 本格スピリットにあふれた本作も、もう17年も前の作品。これを機会に復帰していただけるとありがたいところです。

2007年9月18日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
消失! (講談社文庫)
消失! (講談社文庫)中西 智明

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