谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』

 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。入学早々、自己紹介でそう言ってのけた美少女、涼宮ハルヒ。それは平凡な日常を送っていた俺にとって、想像もできなかった事態の幕開けを告げていた。


 第8回角川スニーカー大賞受賞作。
 もはや言い尽くされた感もある『涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)』。メディアミックスによって様々な分野で大ヒットしていますが、大本はここということで。
 ライトなSFに分類できると思うのですが、理屈として「科学的にどうしてこうなるのか」とかいうものではなく、「こうなっているのだからつべこべ言わずに受け入れろ」的な感じ。語り手にあたるキョンが半ば観念したかのようにこれを受け入れるものだから、読み手も受け入れざるを得ず、かえってリーダビリティが高い快適な読書につながっているようです。僕個人としては、かなり短時間で読んだと思います。
 既に様々なメディアでの露出が著しい作品だけに、登場人物たちのイラストもすっかり記憶済み。ゆえに登場人物たちはアニメを見ているかのように縦横無尽に動いてくれます。


 ところで、作中世界はハルヒが神として望んだ世界であって、それゆえに宇宙人=長門有希、未来人=朝比奈みくる、超能力者=古泉一樹として存在するわけです。すると、おのずと異世界人(無自覚)=キョン、という式が成り立ちませんか。
 では、異世界とは? 3年前にハルヒたちが存在する世界に異世界からキョンが舞い込んだということか、それとも何か全く違うことなのか、あるいは本を媒介としたメタな手法なのか・・・おそらくシリーズ完結まで明かされないのでしょうね。

2007年4月11日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
おすすめ平均
starsたかが萌えの類にこれ以上を求めるな
starsアニメ化以前に書かれたレビューに注目!!
starsわたしも祭りに参加(Ver0.9)
stars実はけっこう深い?
starsまさにライトなノベル

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