森見登美彦『太陽の塔』
京大5回生(休学中)の森本は、1つの研究対象を追い続けている。「水尾さん研究」。彼は生涯において唯一交際し、そして彼を袖にした女性である水尾さんを研究し続けているのだ。ストーカーまがいの行動を続ける森本と、飾磨、高藪ら仲間たちの妄想系青春小説。
第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
「なんじゃこりゃあ!」
これが才能というものでしょう。これでもかと詰め込まれた呆れるほどバカバカしい妄想そのままの言動。病み付きになるひねくれた文体。そしてその中できらりと輝く美しいフレーズ・・・好き嫌いはハッキリしそうなのですが、まずはちょっとだけでも読んでみたらと言う作品です。
「●●●●キューブ」「まなみ号」「哀しみの不規則配列」「邪眼」「砂漠の俺作戦」「ソーラー招き猫事件」「ええじゃないか騒動」このネーミングの素晴らしさ。
「私、部屋によけいなものが増えるのは嫌です」
この強烈な一言が、どれだけ多くのか弱き男性諸君の胸に突き刺さったことでしょうか!
それにしても京都という伝統と文化に彩られた街が、これほどまでに面白おかしく、そしてこれほどまでに美しい街として表現されるとは思っても見ませんでした。
どうせなら、寒い年のクリスマスに読みたかった、そんな本。年末に購入した時点で無理ですが。『夜は短し歩けよ乙女』、早く読みたいなあ。
それにしても日本ファンタジーノベル大賞は素晴らしい。これを大賞に選んだのですから。あ、もちろん歴代の顔ぶれもすごいですよ。
【感想拝見】
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