直木賞、ちょっと考える

 どうにも腹の虫が治まらない、というわけではないのですが、次の記事をご覧いただきたい。

該当作なしの直木賞については、同賞選考委員の阿刀田高氏が「最後に残った池井戸潤さんの『空飛ぶタイヤ』と三崎亜記さんの『失われた町』の2作品に、それぞれ強い賛否の意見があった。これまでの直木賞の水準から見て、候補作が特に劣っていたわけではなかった」と説明した。
 (朝日新聞芥川賞に23歳、青山七恵さん 直木賞は受賞者なし

また直木賞の選考は、異例の長さに及んだ。選考委員の阿刀田高さんは「抜きんでている作品がないというのが共通した認識。2作品が最後まで残ったが、注目を浴びる賞として妥協はしないという判断に至った」と話した。
 (毎日新聞芥川・直木賞選考:青山七恵さんに芥川賞 直木賞該当なし

 会見に臨んだ阿刀田高選考委員は、「3分の1は受賞作を出すか出さないかをめぐる議論だった。非常に苦しい選考会だった」と説明。「直木賞が発展するために受賞作の質を落とす必要はない」と小差で見送ることになった理由を述べた。
 異例の2時間50分に及んだ選考会では、三崎亜記さんの「失われた町」と池井戸潤さんの「空飛ぶタイヤ」が最後まで残ったが、三崎さんは「デビュー作を超えていない」、池井戸さんは「楽しく読めるが、新しいものがない」ことなどがネックとなった。
 (読売新聞/芥川賞に青山七恵さん

 選考委員の阿刀田高さんは、「最終的に過半数の支持を得るものがなかった」と説明。その過程では、選考委員の投票の記号の〇、×をめぐって、「あんたの〇は軽い〇だろう。オレの×は命をかけてるんだ。相殺されるようなものじゃない」といった“激論”があったことも明かした。
 そして、「直木賞はどうあるべきか、レベルが下がっているという声もないではないので、選考委員はえりを正して考えてみようと。権威づけというと語弊があるが、今回は出さないことがこの賞の円満な発展になる」と話した。
 (ZAKZAK芥川賞に23歳OL…慎太郎ら異例の経過説明 “厳選”を強調「村上氏と一致、珍しい」

 選考委員の阿刀田さんの発言を全て聞いているわけではないので曖昧ではありますが、この4つを比較するとかなりの温度差が感じられます。朝日を読んで「それじゃ候補作全部受賞させればいい」と思ったし、毎日なら納得しないでもない。読売を読むと「デビュー作を超えていないことがいけないならどうしてデビュー作で受賞させなかったのか」と難癖つけたくなるし、ZAKZAKなら「あなた」と「オレ」が誰を指しているのかすごく気になる。
 いずれにせよ、直木賞の質が落ちた原因は受賞者を出す出さないではなく、受賞すべき作品で受賞させていないことだという気がするので、そのためには候補作の選考が一番の問題なのだと思います。その辺山本周五郎賞のほうが・・・


 さて、ここで問題です。上記の「あんた」「オレ」はそれぞれ誰でしょうか。
 A・阿刀田高
 B・五木寛之
 C・井上ひさし
 D・北方謙三
 E・林真理子
 F・平岩弓枝
 G・宮城谷昌光
 H・渡辺淳一
 正解は「オール讀物」3月号に掲載されるであろう選評で、って選評に回答が載るでしょうか?


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