倉知淳『日曜の夜は出たくない』

 墜落死したらしき死体。その高さは20m以上という。しかし、事件現場の近くには高さが20mを超えるようなものは存在していなかった・・・数々の不思議な事件を破天荒な変人探偵・猫丸先輩が解き明かしていく。


 倉知さんのデビュー作『日曜の夜は出たくない』を8年ぶりに再読。初読時にどんな感想を持ったのかはっきり覚えていないのですが、実は今年『ほうかご探偵隊』を読むまで8年間倉知作品を読んでいないことから、特別よい感想を持たなかったであろうことは想像に難くないのです。
 そしてそれは今回もあまり変わりません。各編はバラエティに富んでいて飽きないのですが、やや盛り上がりに欠ける点がひっかかります。そして最後の仕掛けがイマイチきまらない。ここがビシッとうまくはまっていれば全然印象は変わると思うのですが、驚嘆するというよりも、もやっとした気持ちが残ってしまいました。こういうまとめ方もキライではないんですけどね。


 それにしても猫丸先輩ってこんなにおとなしいキャラクターでしたっけ? なんだかもっとエキセントリックだった気がするのですが・・・ 思い違いだったのか、それとも雑誌か何かで読んだ猫丸先輩だったのか、どうなんでしょう。


収録作:「空中散歩者の最期」「約束」「海に棲む河童」「一六三人の目撃者」「寄生虫館の殺人」「生首幽霊」「日曜の夜は出たくない」「誰にも解析できないであろうメッセージ」「蛇足―あるいは真夜中の電話」

2006年6月27日読了(再読) 【6点】にほんブログ村 本ブログへ
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