ロバート・ゴダード『最期の喝采』

 19日にロバート・ゴダードの『最期の喝采 (講談社文庫)』を読了。


 舞台「気にくわない下宿人」で主演している落ち目の俳優トビーは、巡業でブライトンに訪れた。ブライトンは離婚を協議している妻ジェニーが再婚を予定しているロジャーと暮らしている町だった。
 まだジェニーを愛していたトビーは、「男につきまとわれ困っている」とジェニーに相談され、その男との接触を試みるが、それは巧妙なワナだった。


 過去と現在が錯綜するような作品を数多く手がけているゴダード。とくに過去を探るものが多かった気がするのですが、今回は舞台のほとんどを現在が占める作品となりました。
 ずいぶんとひさしぶりにゴダードの作品を読んだのですが、なんとなく以前の作品のような「重厚な物語」というよりも「重さ」だけが残ったような印象です。文庫本1冊なのに、かなり長く感じられました。やはりゴダードは歴史もののほうがあっているのかもしれません。
 振り回され続ける主人公のトビーですが、彼に魅力を感じられないのがかなり痛いところですね。何か1点でも惹かれるようなところがあればよかったのですが、そういうところは感じられませんでした。ということで当然感情移入もしにくかったです。


 カタカナが苦手な僕にとって、デニスとデリクのように似たような名前の人物(というか固有名詞)が出てくる作品は、いつもイマイチスムーズに読むことができず、いつも苦労してしまいます。ごく個人的なことですが。
 現代ものが悪いわけではありませんが、次回作は『千尋の闇』や『リオノーラの肖像』のような重厚な歴史ものを期待したいと思います。

2006年2月19日読了 【5点】にほんブログ村 本ブログへ
最期の喝采 (講談社文庫)
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おすすめ平均 star
starいつもの重厚さはないが、凝縮した物語の妙が堪能できる
star巧みな語り口
starゴダードらしい“語り口”の妙
stars可もなく不可もなし
starsさすがゴダード とはいかぬが

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