恩田陸『ネバーランド』

 昨夜遅くに恩田陸さんの『ネバーランド (集英社文庫)』を読了しました。


 ど田舎にある長い伝統を誇る男子校。この冬帰省せず学生寮「松籟館」で過ごすのは、それぞれに事情を持つ美国、寛司、光浩と、通学組でありながらやってきた統の4人だった。4人だけに与えられた時間、4人だけに与えられた場所、そしてクリスマス・イヴの告白ゲームをきっかけに語られてゆくそれぞれの過去と秘密。


 実はこの本、読むのを楽しみにしていました。『三月は深き紅の淵を』を読んだときに、どうも自分と合わないような感覚を持ったのですが、せめてこの本を読むまではと思ったのです。あらすじにすごく惹かれたので。
 カテゴリで括るならば青春小説。4人の高校生がとてもいきいきと描かれています。たった7日間の出来事ですが、彼らにとっては自分が背負っていたものを減らし、代わって友の重荷を共有することで、非常になし得がたい成長を遂げた期間だったのではないでしょうか。
 いつかはここから出て行かざるを得ないし、それは彼らも心得ているはず。だからこそ、ここは彼らの理想郷として、永く記憶の中にとどまることでしょう。読んでいて何だか清々しいような気分になることが出来る作品でした。そういう点で、期待通り楽しむことができました。


 ただし、これは一種の青春ファンタジー。やっぱりこれだけの壮絶な過去を持った者だけが揃う、というか残っているということもないだろうし、なんといっても高校の学生寮での生活がこれだけきれいということも考えにくいですね。そういう大したことじゃないところにひっかかりを覚えてしまいました。

2006年1月21日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
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ネバーランド (集英社文庫)
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