乾くるみ『マリオネット症候群』

 3日に乾くるみさんの『マリオネット症候群 (徳間デュアル文庫)』を読了。


 わたしは高校一年生の御子柴里美。夜中に目が覚めると、自分の身体が思うように動かせなくなっていた。どうやら何者かに身体を乗っ取られてしまったらしい。徐々に事態を把握できるようになってわかったこと、それはわたしの身体を乗っ取っているのは片想いしていた森川先輩で、しかも森川先輩は毒殺されたみたい。どうして・・・


 あの乾くるみさんが徳間デュアル文庫から出した作品。しかし、いくらライトノベルレーベルからの作品であっても、さすが乾さんだけあって、普通ではない作品に仕上がっています。
 おそらくはSFでは多数見られそうな設定なのですが、前半はある意味平凡というかありきたりではないかという展開で、森川先輩殺しの犯人究明まで進行します。しかもあっさりと。


 ところが、この先はたどり着いた真相をいかにして完全犯罪へと変化させるかという、今までと全く異なった方向へ。展開は二転三転し、最後まで読者の予想を裏切り続けてくれます。この辺が乾さんの作品の醍醐味でしょうね。比較的単純な設定なのに、それを最大限に活用して楽しませてくれます。


 長さとしては中編程度。文章も読みやすかったので、おもしろく、そして短時間で読んでしまいました。「ほかのアクの強い作品には手が出しにくい」という乾作品初心者の方には向いているのではないでしょうか。

2006年1月3日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
おすすめ平均
stars乾くるみさんらしい、ブラックユーモア。
starsいつもよりは軽め
starsありがちじゃないよ

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