友桐夏『春待ちの姫君たち』
先週の木曜日に、友桐夏さんの『[rakuten:book:11552826:title]』を読了。
女子校の中等部に通う赤音と春来。春来の姓ではなく名を呼ぶことを許されたのは赤音だけ、という強い絆によって結ばれた2人だった。しかし、クラスの中心であった舞は2人の間を引き裂き、赤音はクラス全員に拒絶され、そして全員を拒絶する。赤音の味方は彼女を決して裏切らないたった1人の・・・
『白い花の舞い散る時間』で衝撃的に登場した友桐さんの2作目。前作同様「リリカル・ミステリー」とされていますが、ストーリー上関連しているとは考えられず、前作を読んでいなくても大丈夫でしょう。
赤音以外には決して名前を呼ばせないという少女春来、赤音と春来は容姿が似通っていること、挿入される文化祭でのクラス演劇の脚本等々、いろいろな要素が平凡な学園小説ではない雰囲気を漂わせ、読者を引き込んでいきます。
なんといってもあの『白い花の舞い散る時間』の友桐夏なのですから、一筋縄ではいかないだろうという期待、そして若干の不安を抱いて読み進めました。予想していた真相は早々に明らかにされてしまい、待っていたのはC女子学園中等部からS女学院高等科へという時間の流れを感じさせないような捻りのきいた怒涛の展開。
鋭く研がれたナイフのような青春ミステリ。雰囲気は抜群。ただ、扱った小道具たちが効果的ではあるものの、盛りだくさんになったためか、使い捨てのようで若干物足りない印象。
前作ほどの衝撃は感じられませんが、作品全体の完成度はこちらのほうが上でしょうか。しばらくは友桐さんから目が離せそうにありません。
関連作:『白い花の舞い散る時間』
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