柴崎友香『ショートカット』
距離、特に遠距離恋愛をテーマにした短編集。タイトルは髪型のことではありません。近道です。
合コンで出会ったナカちゃんの「ワープができる」という言葉に、南津は東京にいる同級生の森川のことを思い出した・・・「ショートカット」ほか4編。
テンポの良い文章ですらすらと読むことができる4つの物語。それは通り過ぎてしまうのではなく、うまくいっていない、あるいはうまくいかなかった遠距離恋愛の切なさが余韻として残る物語です。不安と安心の狭間のような感情が出ているようでした。
また、どのシーンも視覚的で、読んでいるだけなのに自分がその場にいるような感覚になります。それは表参道だったり、新宿御苑だったり、あるいは夜の大阪や合コンの会場だったり。そういえば、写真だとか映画だとか、映像的な要素もふんだんに盛り込まれていました。
人間、物理的にも心理的にも距離の近さが大切ですね。どちらも互いを補う意味で。
たまには写真を撮ってみたくなりました。
関西弁の会話がやさしく、心地いいです。
収録作:「ショートカット」「やさしさ」「パーティー」「ポラロイド」
ショートカット | |
柴崎友香 河出書房新社 2004-04-17 売り上げランキング : 491588 おすすめ平均 タイトルの妙。表紙の素晴らしさ。 テーマが たぶん、そんなに遠くない。 なんでもない風景 ショートカット Amazonで詳しく見る by G-Tools asin:4309016332 rakuten:book:11257195 【bk1】 |