大倉崇裕『三人目の幽霊』

 図書館で借りてきた『三人目の幽霊 (創元クライム・クラブ)』です。


 「季刊落語」編集部に配属された間宮緑。並外れた洞察力を持つ編集長、牧大路。ふたりの身の回りでおきる落語界内外の不可思議な出来事を計ったかのように解決していく牧と、必死に追いかける緑・・・


 表題作「三人目の幽霊」は第4回創元推理短編賞佳作、「崩壊する喫茶店」は第3回同賞最終候補作。落語界を中心に据えた連作短編集です。落語とミステリといえばすぐに北村薫さんの円紫師匠とわたしシリーズが思い浮かぶのですが、あちらが落語家探偵? であるのに対して、こちらは主として落語家は依頼人であること。
 「三人目の幽霊」はその典型です。長年のライバルだった松の家、鈴の家二門関係修復の「二門界」を前に、高座でそれぞれの一門の噺家に罠が仕掛けられる。お互いを疑う二門。そしてついに大名人松の家葉光の「真景累ヶ淵」で2人だけのはずの幽霊がもう1人!


 いわゆる「日常の謎」系で、どうしても円紫師匠シリーズと比較されるでしょうが、厳しさと暖かさが同居する作風で、結構気に入ってます。個人的には「三人目の幽霊」「患う時計」が好きです。続編『七度狐 (創元クライム・クラブ)』も借りてきて読みたいと思います。


収録作:「三人目の幽霊」「不機嫌なソムリエ」「三鶯荘奇談」「崩壊する喫茶店」「患う時計」
関連作:『七度狐』『やさしい死神

2004年9月5日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
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