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円居挽『日曜は憧れの国』

日曜は憧れの国 (創元推理文庫)

日曜は憧れの国 (創元推理文庫)

 

 母親に指示され、四谷のカルチャースクールに体験で5回通うことになった千鶴。最初の料理教室では同じ中学二年生4人のグループを作ることになり、慣れないカレー作りに挑む。初対面でタイプも違う4人は、ぎくしゃくしながらもなんとかカレーを作り上げるが、そこで盗難事件が。その顛末に納得がいかず、4人は帰りの道すがら、真相に思いを巡らす・・・・・・(「レフトオーバーズ」)

 円居挽の最新作(ですよね)は、日常の謎を取り上げた短編集。ちょっと意外な感じがしました。

 いわゆるカルチャースクールに5回だけ通うことになった中学二年生が、各話交替で語り手を務める形の連作短編集です。ひとつひとつの謎は若干小振りな感じ。大人なら見向きもしないというか、むしろ見て見ぬふりをするようなものも多くあります。そこに疑問を感じ、関心を持って謎を解き明かそうとするのには、好奇心旺盛な中学生ぐらいがちょうどいいのかもしれません。登場する4人も千鶴、桃、真紀、公子とキャラクターが異なり、様々なジャンルがごちゃ混ぜになっているカルチャースクールと共通するような部分があります。

 4人が導き出す謎の真相は、憶測が混じっているようで若干納得していいのか疑問が残るものも。彼女たちのできる限界までの範囲でたどり着いたものと考えれば、仕方ないのかもしれません。いや、むしろそこまでにとどめているのが、等身大の中学二年生を表現していていいようにも思えます。

 中学生を主人公に置いた青春小説としては、後半の「幾度もリグレット」、そしてラストの「いきなりは描けない」と、彼女たちの成長が窺えるのがいいですね。とくに、公子にとって他の3人の考え方は目からうろこが落ちるようなものではないでしょうか。
 今までの作風とは少し異なりますが、クセがない分むしろこちらの方が一般受けしそうな気がします。どちらかといえば今までがマニア向けでしたからね。広くおすすめできる一冊です。

収録作:「レフトオーバーズ」「一歩千金二歩厳禁」「維新伝心」「幾度もリグレット」「いきなりは描けない」

2016年11月20日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ