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天祢涼『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』

review

 有力議員だった父親の跡を継ぎ、無事代議士となった漆原翔太郎。だが、当選早々問題発言を繰り返し、すっかりおバカ議員扱いに。サムライ秘書とも呼ばれる堅物の雲井は、支持率向上のため翔太郎に地元の問題解決をけしかけるが、その都度翔太郎は思いもかけない行動に出る。その結果は・・・


 かつて「料亭通いしたい」などと発言した新人議員がいたけれど、新人議員氏を思い起こさせるような言動の若き二世議員漆原翔太郎。彼の突拍子もない言動と発想が、うまい具合に絡み合って事件やものごとの真相にたどり着いてしまう様が、ユーモアたっぷりでなんともおもしろく読みました。
 楽しいのは、翔太郎がおバカなふりをした謎解きの天才なのか、それとも本当にただのおバカなのか、語り手で秘書の雲井にはよくわからないところでした。堅物の雲井が良かれと考えてとった対応のほとんどが裏目に出てしまい、それを翔太郎が後からひっくり返していくというパターンの繰り返し。ですが、このパターンが一話一話の翔太郎の活躍を際立たせ、同時に雲井の困惑を増大させていくつくりになっていてユニークです。できることなら、翔太郎にはこのままおバカの仮面をかぶった天才二世議員でいてほしいなあ。
 何やら変わったものを書く人というイメージを持っていたのですが、「天祢涼ってこんな作品を書くのか」と、いい意味で先入観を覆されました。シリーズ化も期待できそうです。

2012年12月4日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎

セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎