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月村了衛『機龍警察』

review

 新時代に台頭した「機甲兵装」と呼ばれる近接戦闘兵器。その進化系「機龍兵」の導入にあたって、警視庁は3人の傭兵を搭乗要員として契約した。彼らは警察組織の中で孤立し、機甲兵装による地下鉄駅立て籠もり事件への対応でSATと衝突してしまう・・・


 もはや、警察ものには定番となった感がある組織内対立。この作品はそこに二重三重の組み合わせを取り入れ、より複雑にしています。すなわち、警視庁と県警だったり、SATとSIPDだったり、あるいは…といった具合。この入り組んだ対立がぶつかりあうだけでなく心理的な葛藤を生んでいるのが、そのまま物語の深みになっているようでした。


 もちろん見どころは龍機兵なのだけれど、全体を見るとこれは物語におもしろさを加えるガジェットに過ぎない気がします。たとえ龍機兵がなくても、ごくごく普通の警察小説としてストーリーには影響を与えないように思われるのです。
 では、なぜ龍機兵がいるのか。龍機兵の存在によってもたらされたのは、SF的なおもしろさでしょうか。龍機兵が登場することによるエンターテインメント性の増強とでも言い換えられるかもしれません。激しく動き回る戦闘シーンのおもしろさは、通常の警察小説ではありえません。これによって、警察小説にありがちな重さを排除しているともいえるでしょう。重く堅い警察小説を楽しく読みやすいものにしていると言えるのではないでしょうか。


 イメージとしてはやはりパトレイバーなのかな、という気はします。それが著者の意図するところだったのかどうかわかりませんが、少なくともおもしろく読むことができる小説だということは確かです。

2013年3月19日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
機龍警察(ハヤカワ文庫JA)

機龍警察(ハヤカワ文庫JA)

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