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円居挽『烏丸ルヴォワール』

review

 『黄母衣内記』の所有者が謎の死を遂げ、相続をめぐる兄弟の争いが起きた。決着は私的裁判・双龍会でつけることになり、龍樹家の者たちも参加することに。だが、ささめきの山月に誘われた瓶賀流はもう一方の依頼を受けることになってしまう。それは、龍樹家との対決である・・・


 無駄な部分が一行もないような、計算されつくした構成。前作『丸太町ルヴォワール』との違いは双龍会までの部分、すなわち準備や仕込みのような部分を中心に描かれていることでしょうか。もちろん、そこも双方の駆け引きの場。お互いにどんな情報を手に入れ、相手に何をつかませるのかという部分ですから、後々の双龍会での攻防をどのように変えるのか、伏線としての役割を見て楽しむことができます。また、この部分が登場人物たちの造形をより深くしているように見えます。


 肝心の双龍会は、あくまで論理で相手を打ち負かして周囲を納得させる場。真相を求める場ではありません。それだけに華となるどんでん返しは連発され、結果としてギリギリのラインを狙う駆け引きはかなりスリリングです。本当に何でもアリ、そしてどんな論理もひっくり返していくエキサイティングな展開はまさにエンターテインメント。分量は前作と比較して少なくなったとはいえ、その盛り上がりは勝るとも劣らないといえます。


 このエンターテインメントへの方向性は徹底されていて、龍師たちの設定や決め台詞など、一般的な法廷劇ではない部分でも楽しませてくれます。前作の論語も今作の流も、必ずしも超一流のスーパー龍師とはいえない部分がまたいいのかもしれません。


関連作:『丸太町ルヴォワール

2012年3月8日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
烏丸ルヴォワール (講談社BOX)

烏丸ルヴォワール (講談社BOX)

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