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東野圭吾『マスカレード・ホテル』

review

 東京で発生した連続殺人事件。警視庁は次のターゲットを「ホテルコルテシア東京」であると読み取り、潜入捜査を開始した。ホテルのフロントに配属された捜査一課の新田浩介は、考え方が異なる教育係の山岸尚美と度々ぶつかってしまう。厳戒態勢の中、ホテルの客は誰もがあやしく見える・・・


 新シリーズスタート? という作家生活25周年記念作品。「小説すばる」2008年12月号から2010年9月号で連載されたもの。


 警察ものではあるのですが、舞台が超一流ホテル、しかもそのスタッフになりきっての捜査ということもあって、ほかの警察もののミステリとはかなり異なる雰囲気を持っています。
 なにしろ、人を疑うことが仕事(失礼!)の警察官と、客を信じる仕事のホテルマンでは、ものの見方が180度異なるわけです。したがって、新田と尚美では考え方が正反対ですし、新田はその違いに戸惑いながら2つの仕事をこなさなければなりません。
 また、ホテルを訪れる客への対応が、その違いを際立たせる役割を持っているだけでなく、事件そのものに対しても重要な意味を持たせているのもポイントでしょうか。ホテルの日常の風景をクローズアップしただけでありながら、しっかり事件の中心に絡める手腕はさすがです。まるで連作短編集のようにあやしい客は訪れるのですが、そこに最初から連続殺人事件という背骨がしっかり通っているからこそ、長編として楽しめるものになっています。


 それにしても、ホテルの徹底したサービスの考え方には驚くばかりでした。ここまでしてくれるからこそ、客は楽しむことができるのですね。
 シリーズ化ということになれば、そう度々同じホテルで事件が発生することはないでしょうから、おそらく新田中心のものになるでしょう。その時でも、この「コルテシア東京」での経験は生かされるのでしょうか。ヘンなところが気になりました。

2012年2月28日読了 【8点】にほんブログ村 本ブログへ
マスカレード・ホテル

マスカレード・ホテル

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