石持浅海『ブック・ジャングル』

 「もう一度あの昆虫図鑑を見たい」その一念で、沖野は秋元と閉鎖された図書館に忍び込んだ。そこで除籍本目当ての女子高生たちと遭遇してしまう。互いに驚き、警戒するのだが、そこに新たな衝撃が。何者かが操縦するラジコンヘリが彼らを襲うのだ。逃げまどう五人を狙うラジコンヘリの数は増えていく・・・


 図書館を舞台にしたサスペンス。タイトルは図書館に立ち並ぶ数々の書棚をジャングルの木々に見立てたのでしょう。
 設定とか、動機とか、いろいろなところに無理があるのですが、かなりスリリングではらはらどきどきさせられました。


 紙幅はひたすらラジコンヘリの攻撃を避け続けることに費やされます。手を変え品を変え襲ってくる犯人側と、それに対応する沖田たちの攻防は一気読み。犯人側の周到な準備に対抗していく手段には感心させられます。
 もっとも、真犯人の正体は何度か挿入されるエピソードでバレバレ。推理するというものではあまりありません。その動機も同様。ただし、前記のように無理があるように思えますので、これに納得できるかどうかはまた別です。


 読者が期待しているものとは少々違うかもしれませんが、スリルあふれるサスペンスには違いありません。特に石持さんの一風変わった作品群が好きな方にははずせない一冊です。

2011年10月3日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
ブック・ジャングル

ブック・ジャングル

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