竹宮ゆゆこ『ゴールデンタイム 2 答えはYES』

 記憶喪失になりながらも、一浪で大学に入学した多田万里。ストーカーのように柳澤を追いかけていた加賀香子に振られ、その一方でサークル「おまけん」の先輩リンダはどうやら以前の自分を知っているだけでなく、という微妙な関係。ふたりの間で万里の心は乱れて・・・


 ひきつづき、万里のなにやら複雑なキャンパスライフです。本当なら楽しいキャンパスライフになるところでしょうが。
 万里としては彼を取り巻くふたりの女性、すなわち香子とリンダとの関係をすっきりさせることが重要なはずですが、そう簡単にはいかないのが物語の常。相変わらずそれぞれの思惑が入り乱れて、よりいっそう複雑な関係になったようです。
 ラストの展開がひと波乱だったわけですが、これがそのまま続くと考えてもいいものなのか、かなり不審。きっと次ではもう一回ひっくり返すことでしょうし、もうひとりの動きが少ないのもいつ噴火してもおかしくない休火山のよう。死火山ではなく休火山です。いつ、どんな形で噴火するのかなあ。


 香子をはじめとする登場人物たちの葛藤であったり憤りであったりというものが色濃く出ていて、やや重いものの楽しく読める青春物語でした。
 柳澤や岡千波もこのまま消えるのではなく、まだまだにぎやかにかき回してくれそうな感じがします。ふたりともこのまま消えるのではちょっとさびしい。3巻も楽しませてください。


関連作:『ゴールデンタイム 1 春にしてブラックアウト

2011年3月14日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
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