川原礫『アクセル・ワールド 2 ―紅の暴風姫―』
帰宅したハルユキを待ち受けていたのは、小学生の少女トモコ。はとこだという彼女は、母が留守中に預けられたらしい。母が留守になる数日間トモコを預かるハルユキだが、黒雪姫の視線が冷たい。その頃、《加速世界》ではひとつの問題が発生。呪いの強化外装《災禍の鎧》が猛威を振るうのだった・・・
《赤の王》、《黄の王》現る。
敵味方の区別なく襲い続ける《災禍の鎧》。これを食い止めるためにハルユキは唯一の存在である「飛行アビリティ」を駆使するというお話。
突然現れたトモコ=二代目赤の王ニコという特攻のような姿勢に驚かされましたが、その秘められた真実、即ち《災禍の鎧》との関係がなんとも悲劇的でした。また、そこに黒雪姫が抱える過去の問題も絡められ、物語全体の構成の巧みさを感じずにはいられません。
加速世界における親と子という新たな絆。もちろん、黒雪姫とハルユキの関係は単純に親と子というだけではないのですが、ほかの組み合わせのことを考えるととても切なくなります。
ただ、今回はリアルとバーチャルの比率がちょっとバーチャル寄りで、少しずつそちらに偏っていってしまいそうなのが残念でした。1巻は絶妙のバランスで両者が組み合わされ、どちらも楽しませてもらっただけに。その辺を次で打開してもらえるといいかな。チユリの出番もずいぶん減ってしまいましたし。黒雪姫とハルユキの間のケーブルの長さはもちろんですが、チユリとハルユキの間のケーブルも短くなった方が絶対おもしろいはず。そこは次に期待です。
関連作:『アクセル・ワールド 1 ―黒雪姫の帰還―』
アクセル・ワールド〈2〉紅の暴風姫 (電撃文庫) | |
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