瀧羽麻子『左京区七夕通東入ル』
七夕の夜、わたしはたっくんと出会った。アリサから代打で誘われた合コンで出会った数学科の彼はちょっと変わっていて、のめりこむと寝食すら忘れて集中してしまう。そんな彼と、わたしは恋に落ちている。あの七夕の日から。ブルーベリーで服を汚してしまった、あの日から・・・
どこかでモリミーやマキメと同列で語られていたのでどれほど奇妙かと構えていたのですが、そんなこと忘れてしまうほどあたたかく、そして愉快なラブストーリーでした。
花とたっくん、アンドウ、ヤマネ。4人の楽しそうなことといったらありません。バイトだったり研究室だったりといろいろ忙しそうではありますが、その中でもとても青春している姿が目に浮かびます。大変なのだけれど、楽しそうなのです。
たとえばタコパ、あるいは花火、そして卒業旅行。こういったものというのは、学生の特権とまではいかなくても、学生ならではの楽しみ方ができることではないでしょうか。同じことをしても、社会人ではもう同じ感覚は取り戻せないもの。そういった感覚だとか雰囲気というものが強く出されていたように思います。一年弱の時間の間にそんな出来事がもっとあったもよかったかもしれません。
理系の男性というのはたっくんほどではないにしても、ちょっと何かにのめり込むタイプの人が多い気がします。僕の周りにも、学生時代はそんな人がちらほらと。まあ、たっくんぐらいのめり込むようだと、少々心配になりますね。
登場人物がみんないい人で、それぞれに将来のこととか、夢だとか、そういうものを前向きに考えているのもなんだか気持ちよく感じられました。いいじゃないですか、そういうのって。
たとえ物理的な距離は離れてしまっても、心理的な距離はどんどん近付いていく。そんなふたりのこれからを応援したい気分になりました。
左京区七夕通東入ル | |
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