甲田学人『Missing 2 呪いの物語』
“魔女”十叶詠子からの忠告は「“見えない狗”に、気をつけて」だった。一笑に伏した木戸野亜紀のもとには呪いのFAXが届くようになり、それは毎晩深夜二時。やがて彼女の周囲では獣の臭いが漂い、異様な傷が増えていく。それは、見えない狗が彼女を襲っていることを意味していた・・・
シリーズ2巻。随分濃い話になりました。今回は呪いの手紙ならぬ呪いのFAXです。
前回は顔見せ的な内容に感じられたのですが、今回はさすがに本筋に入ったようなおもしろさを感じました。何といっても違いは緊迫感です。空目が姿を消したとはいえ、さほどの緊迫感は感じなかった前作。対して今回は亜紀が日に日に歪み、傷ついていく姿が強い緊迫感を誘います。今回の方が怖く感じたのもその辺の影響でしょうか。
もちろん直接的な描写も巧みで、血生臭さが漂ってくるようです。それに獣の匂いも。描写といえば、蛆虫は本当に勘弁してほしいほど気持ち悪いものでした。
はっきりしていなかった登場人物のキャラクターも、今回は少しずつ個性が出てきた模様。特に亜紀は彼女が持つ二面性がはっきりと表現されていて、まさに“ガラスのケモノ”という言葉がぴったりでした。空目、亜紀とメインキャラクターが替わっているので、次はまたほかの誰かに変わるのでしょうね。それもまた楽しみです。
関連作:『Missing 神隠しの物語』
Missing2 呪いの物語 (電撃文庫) | |
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