入間人間『探偵・花咲太郎は閃かない』
探偵・花咲太郎は犬猫捜索専門。そしてロリコン。当然殺しや誘拐なんてものには無縁のはずであり、そんなものの犯人捜しなんてする気もない。だが、彼と共に暮らす小学生のトウキはなぜか事件を呼び寄せてしまう。閃かないダメ探偵・花咲太郎はそのたびに事件に巻き込まれ・・・
「探偵」なんてタイトルにくっついてますが、ミステリを期待しちゃだめな作品ですね、これは。
閃かないだけに、推理の過程もとにかくショートカット。そちら方面の醍醐味は期待できないのです。
では、この作品の売りは何なのか、と考えると、正直一体なんだろうと頭を捻ってしまいます。
ミステリではない。
涙するような人情話でもない。
驚愕するような展開もない。
うらやむようなラブストーリーでもない。
腹を抱えるほどのコメディでもない。
しいて言えば、くすっと笑ってしまう程度の小ネタ話、といったところでしょうか。「推理は省いてショートカットしないとね」なんて言葉は、むしろミステリのパロディととれなくもありません。
もっとも、ストーリーにはミステリのガジェットも盛り込まれ、楽しませてくれるものには違いありません。探偵が出てくれば殺し屋も出てくる、なかにはちょっとした驚きをもたらすようなものも。ただ、犯人はわかっても、事件の真相がわかるようなものばかりではありませんがね。
入間人間ならではの、ゆるくコミカルな部分とグロテスクな部分が同居した作品。これ以上コミカルだと2つの部分が相容れない気もするし、それならいっそコミカル路線に走ったほうがいいもします。どちらにしろ、続編がどんななのか、気になる作品です。
探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫) | |
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