雫井脩介『白銀を踏み荒らせ』
失意のうちに柔道界を離れた望月篠子。今度はアルペンスキーの日本チームにメンタルコーチとして加わることになった。日本チームでは前年、石野兄弟の兄ケビンが富良野で不可解な事故死を遂げ、弟マークはそのトラウマによりスランプに陥っていた。マークの不安を拭い去るため、篠子はケビンの事故を調べるが・・・
『栄光一途 [ 雫井脩介 ]』に続くスポーツサスペンスものの第二弾。読み応えのあるサスペンスでした。
アルペンスキーは、柔道と比較するとまだ日本に定着したとまでは言い切れない気がします。そのためではないでしょうが、今度は舞台もフランス−オーストリア−湯沢−富良野とグローバルに移動、物語としてのスケールも一段大きくなったようです。
真相は決して現実的ではありません。また、それをあまり隠そうとせず、結果として読者が容易にその結論に達してしまうのも残念ではあります。しかし、犯人や黒幕の姿をつかめてもどうやって追いつめていくのか、最後の最後まで目が離せないストーリーで楽しませてくれました。リーダビリティも高く、なかなかのエンタテインメント。深紅の超人的な活躍に支えられているものの、湯沢や富良野での対決シーンもおもしろいものでした。十分満足できる作品でした。
新刊の『[rakuten:book:13248302:title]』にも深紅は登場するようですが、あらすじを読む限りでは続編ではなさそう。こちらは読むべきかどうか、悩みどころです。
関連作:『栄光一途』
白銀を踏み荒らせ | |
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