太田忠司『まいなす』

 英語読みするとマイナスになる、名前にコンプレックスを持つ飛魚中の那須舞は、頼られると断れない性格。クラスメイトに頼まれ一緒に乳母山にある「時渡りの祠」へ行くと、そこにはバスケ部のエース立岡先輩が倒れていた。首尾よく助けた舞だったが、立岡は祠から未来へ行き、飛魚中の女子が殺されるのを見たという・・・


 ミステリーYA!の一冊。
 自分の名前のことだけではなく、その性格ゆえに周囲の様々な厄介ごとを一手に抱え込んでしまう舞が不憫でなりません。彼女の周囲の人物、特に中学生たちにいやな人物が揃っています。今どきの中学生って、概してこんな感じなのでしょうか。悪意はなくても無神経。


 物語の中心は立岡先輩が未来で見た殺人なのですが、その真相はおそらく容易に想像できるもの。ただ、そこへたどりつくまでの過程で舞が様々なものを吸収できたのではないでしょうか。中でも、気持ちを素直に出せる強さが、彼女にとって一番の収穫だったのではないでしょうか。


 また、彼女のバックアップにあたった伯父与一の存在も忘れられません。舞に適切なアドバイスを送りつづけるのはもちろんですが、彼との別れそのものが舞の大人としての一人立ちの儀式だったように思えます。正直、ドルフィンジョークは微妙でしたが。

2009年11月12日読了 【7点】にほんブログ村 本ブログへ
まいなす (ミステリーYA!)
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