豊島ミホ『初恋素描帖』
2年2組35人。みな中学2年生らしく、何かに熱中したり、何かに思い悩んだりしている。もちろんそれだではなく、恋もするし、憧れもする。あの人は何を考えているのだろう。どうしたらこの気持ちをうまく伝えられるだろう・・・
なるほど、こんなことあったって言いたくなる懐かしいような話。中学二年生らしく、みんなちょっとだけ背伸びしていて、早く大人になりたいっていう気持ちがよく見えてきます。
ひとクラス35人の中の20人。その一人ひとりが交代で語っていきます。わずか8〜9ページずつ。
多くの生徒の口から語らせることで、この2年2組の全体像と、多角的な見え方、感じ方を表現することを試みたのかもしれませんが、さすがにこの人数、ページ数では無理があったように感じます。読んでいても誰が誰だか区別がつかなくなりますし、それぞれに対する書き方も少々浅いように思えます。
20人のほとんどがクラス内の人に恋していて、こんなに狭い世界だっただろうかと疑問に思う反面、自分の知らないところではそんなものだったのかもしれないとも考えたりしました。いずれにせよ、思春期真っ只中、誰かに恋している人が多いのは確かでしょう。
何より残念だったことは、20人の物語が20人の物語というだけで終わってしまったこと。なにか最後でこれをひとつにまとめてくれたなら、もっと違った印象も持てたのですが。これを求めるのは連作ミステリの読みすぎかな。
初恋素描帖 (ダ・ヴィンチブックス) | |
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