三上康明『恋の話を、しようか』
大学受験を控えた高三の冬。予備校の模擬試験を前日に受けることになった四人。偶然一緒になった四人だったが、試験中に突然起きた停電で、試験を進めることもままならなくなってしまう。そこで、一人が提案した。「恋の話を、しようか」と・・・
ほとんど面識がなかった四人が、「停電仲間」として友情、恋、進路に悩む切ない青春の物語。四人それぞれが特徴を持ったキャラクターでわかりやすいです。
特別大きな特徴があるストーリーではないので、インパクトは薄いかもしれません。もうひとつ、あるいはふたつ大きなインパクトのある展開を盛り込めればだいぶ印象が違ったのですが。ただ、四人それぞれの距離が少しずつ縮んでいくうちに、それぞれ抱えている悩みについてもさらけ出すようになる流れは、なかなかの説得力を持っています。
誰が誰の方向を向いているのか、それは読んでみてのお楽しみ。もしかしたら、これがいちばん難しい形かもしれませんし、少し変えればまったく印象が違うドロドロしたような物語になったのかもしれません。けれども、この顔ぶれならばこれ以外の形はありえないと思えてしまうのがなんとも不思議。
恋の話を、しようか (ガガガ文庫) | |
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