壱月龍一『七夕ペンタゴンは恋にむかない』
幼なじみの五人は特別な関係。七年に一度の晴れ七夕の日にエイエンの友情をを誓った五人なのだ。だが、その一人あかりが突然転校してしまったことで、特別な関係は崩れてしまう。二年後、あかりは戻ってきたのだが、五人の関係は元には戻らない・・・
「四人でもいいじゃん」は禁止です。鈴のために。
とにかく切ない。
後半、こんな展開にもっていかなくてもいいじゃないかと思わずにはいられませんでした。いや、これはこれで悪くはないとも思いますが。
あかりが戻ってきてからの五人は、それぞれに考え方の違いが良く出ていて、これからどういう風に話を進めるのだろうかと期待したのです。ドロドロの愛憎だろうか、あるいはさわやかの青春だろうかと。それだけに、どちらもスルーしてうやむやのまま強引にまとめられたような気がしました。そこが残念。
また、主人公である湊が子供っぽすぎる点がどうにも好きになれません。ある程度までは許容できるのですが、これはさすがに子供すぎます。とても年相応とは思えません。こんな人物じゃないと最後の展開には持ち込みにくいかもしれませんが。
あまり目立たなかった鈴は、言動とイラストがどうにもミスマッチで違和感が残ってしまいました。言動だけなら湊に負けず劣らず子供のようですが、イラストでは女性三人の中で一番大人びて見えるのは気のせい?
なんだか引っ掛かりばかり上げてしまいましたが、確かにおもしろい物語だったのです。それぞれに青春していて、今を大切にする姿が。これで普通の恋と友情の物語だったら、どれだけよかったことでしょう。
例えば、五人の関係を認識した湊はどういう選択をするのか、そのとき橙や鈴はどんな態度をとるのか、伊緒やあかりは? そんなことをつい考えてしまいます。もったいなかったなあ。
七夕ペンタゴンは恋にむかない (ガガガ文庫 い 1-3) | |
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