有沢まみず『スイート☆ライン』
熱血高校生・花沢正午。彼の暮らす部屋の隣に引っ越してきた少女は、新人声優の新島永遠だった。限りない才能を秘める永遠だったが、極度の人見知りと男性恐怖症のため、アフレコでは使い物にならない。アニメプロデューサーである正午の姉は、正午に永遠の欠点をオーディションまでに克服するように頼んだ。正午が採った方法は・・・
コミカルだけれどいい話。
正午の熱血漢ぶりがいいです。おバカで単純で変な奴なんだけれど、その熱さが押しつけでなく、他人の気持ちを尊重しているところに好感が持てます。永遠のことを引き受けるときにも姉に永遠の意志を確認し、さらに直接永遠にも覚悟を問いただしています。このあたり、読者うけする熱血漢なのではないでしょうか。
また、半ば二重人格のように豹変する永遠もなかなかおもしろいです。極端な欠点を持ちながらも、それを克服して自分の夢に向かおうとしているあたり、正午が応援したくなる気持ちが理解できます。もっとも、ビリビリはいけませんよ、ビリビリは。
おもしろい話ですが、声の魅力や迫力というのは文章ではなかなか表現しにくいのかもしれません。この辺が作家の腕の見せ場でしょう。
ストーリーは顔見せに終始した感じで、いかにもシリーズの一巻というような内容です。それに紙幅を割いたこともありますが、本題に入るまでが長すぎ、ちょっとバランスが悪いですね。その影響で、ページ数の割に内容が薄く感じられます。
また、ヒロインである永遠の欠点の理由というものこそ説明されたものの、何やら今後を引っかき回してくれそうな神楽坂はるか、山川舞というふたりの声優仲間については、キャラクターがまだほとんど明らかになっていません。二巻もこのまま進んでいくようなことはないと思いますが。
二巻以降では新たな人物も登場するようです。どんな展開になっていくのか楽しみに待っています。ヒロイン三人との関係に要注目ですね。
スイート☆ライン (電撃文庫) | |
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