恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』
高校で偶然知り合い、同じ大学に進んだ男女三人。読書サークルに入りほとんど書くことがなかった楡崎綾音、ジャズ研究会で仲間と出会った戸崎衛、シネマ研究会で手伝いばかりしていた箱崎一。三人がそれぞれに思い出す、それぞれの物語・・・
恩田さんの紡ぎ出す青春小説。いったいどんな想像をしますか。『夜のピクニック』でしょうか、それとも『ネバーランド』でしょうか。どちらもノスタルジックな中に、未来を見つめる強い眼差しがありました。
対して、今作はそういうものではありません。過去を振り返りながらも、そこからノスタルジックなものを読み取ることはないでしょう。あるのは苦々しさや焦り、あるいは空虚のようなもの。間違っても、「あの頃はよかったなあ」なんて思うことはないものです。綾音の思うとおり。
こんな内容ですから、読んでいておもしろい作品とは思えません。
ただし、ここで登場した三人から新しい物語が膨らんでいきそうな気配を感じました。それが三つの物語なのか、それともひとつの物語にまとまるのか、その辺はよくわかりませんが。もしかしたら、これは恩田さんお得意の、壮大な予告編なのかもしれません。
【感想拝見】- 粋な提案さま(2009.04.12追加)
ブラザー・サン シスター・ムーン | |
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